特有財産の主張は認められなかったものの、「一切の事情」として多額の預金を相続したことを考慮して、財産分与額を減少させた事例(東京高決令4.3.25参照)

お金 財産分与

ストーリー

貢(みつぐ)は大学生。在学中の21歳の頃、同い年のタマ子と結婚。2人の子にも恵まれ、ますます意欲を燃やした貢は、大学院に通い、その後も勉強を続け、結婚から13年後には税理士資格を取得。会社を立ち上げるなど事業は順調だった。

一方で、タマ子との関係は年々悪化していた。タマ子は専業主婦だったが掃除が苦手で、 自宅はいつしか、ごみ屋敷のような状態になっていた。

結婚から30年が経った頃、貢は家を出てタマ子と別居。裁判の結果、貢とタマ子の離婚が成立した。

離婚成立後、タマ子は貢に対し、財産分与を求めて調停を起こした。貢は、自身の名義の預金のうち、父母等から相続した約3600万円が特有財産であるとして争った。

原審(東京家審R3.11.25参照)

結論

貢からタマ子への財産分与額は、約5441万円。

理由

貢が父から相続した約2900万円の預金のうち、定期預金口座に預け入れられるなどして別の財産とは区別されて保管されていた約974万円は、特有財産。

それ以外の相続財産については、基準時における残高の中に残っていたことを裏付ける資料はないので、特有財産と認めることはできない。

抗告審(東京高決令4.3.25参照)

結論

財産分与額は、約5000万円。

理由

貢は、父の死亡による相続により約2900万円も多額の預金を相続した。特有財産として考慮した預金を控除しても、約2000万円の預金を取得していた。これらの預金により、基準時財産が増加し、あるいは支出を免れたことが推認される。

これらの事情のほか本件に現れた一切の事情を考慮する。

その他

分与割合(寄与度)

・貢は自身が6割、タマ子が4割と主張したものの、寄与度は同程度とされた。

名前の由来

・夫(相手方)の職業は税理士。「税」の訓読み「みつぎ」を名前っぽくしてみました。
・妻(申立人)は掃除等が苦手で自宅はごみ屋敷状態であったとのこと。ごみ屋敷=hoarder house=溜め込む人の家≒タメ子さん≒タマ子さん。

タイトルとURLをコピーしました