婚姻費用・養育費

婚姻費用・養育費

妻が自宅を出て近隣住宅を借りたことは、夫の不貞関係の発覚等やむを得ない事情によること等から、住居費のうち標準算定方式で考慮されている住居費を超える分につき収入比で按分して負担すべき等とした事例(東京家審平成31.1.11)

妻が別宅を借りた経緯が、夫の不貞関係の発覚、夫による退去指示等やむを得ない事情によるもので、その広さや家賃も不当とは言えない場合に、標準算定方式で考慮されている部分を超えた分につき、収入比で按分した金額を夫も負担すべき等とした。同居時にしていた習い事代についても、収入比で按分した金額を夫も負担すべきとした。
婚姻費用・養育費

妻から夫への婚姻費用分担請求につき、別居と婚姻関係悪化の根底には妻から子に対する暴力行為があり、妻の責任が大きいとして、婚姻費用分担請求は信義則違反ないし権利濫用であるとした事例(東京高決平31.1.31)

妻の長男に対する暴行により別居が開始され、これにより婚姻関係が一挙に悪化し別居の継続により不和が深刻化している状況、妻に一定の収入があり夫が子の私学費等を負担している経済状況から、妻からの婚姻費用分担請求は信義則違反ないし権利の濫用であるとした
婚姻費用・養育費

婚姻費用分担調停成立後の義務者の減収につき、具体的に予見されていたものとはいえないとして、婚姻費用の減額を認めた事例(東京高決令1.12.19)

夫の減収や退職は確実なものとして具体的に予見されていなかったとして、調停成立後のこれらの事情を考慮し、婚姻費用減額の主張を認めた。他方、義務者である夫が年金の繰下げ受給を選択していても、受給可能な年金収入を婚姻費用の算定の基礎とするとした。
婚姻費用・養育費

婚姻費用に関し、私立高校学費等について、世帯収入に対応する公立学校教育費を算出した上で、これを超える支出分につき基礎収入に応じて按分するとした事例(東京高決令2.10.2)

世帯収入約1100万円に対応する公立高校教育費相当額は約37万円であるとし、これを超えた私学学費等支出分について、夫婦の基礎収入に応じて按分した金額を加算し、婚姻費用月額を25万円とした。
婚姻費用・養育費

婚姻費用分担の始期は、調停申立時ではなく、申立人が内容証明郵便により分担を求める意思を確定的に表明した時点を基準とするとした事例(宇都宮家審令和2.11.30)

婚姻費用分担の始期は、内容証明郵便により請求した時点とするとした事例
婚姻費用・養育費

婚姻費用につき、義務者が退職して無職であっても、従前の稼働状況等から前年の収入の5割の稼働能力があるとして婚姻費用を算定した事例(宇都宮家審令2.12.25)

事案概要 夫婦歴 ・平成29年 婚姻・令和元年 申立人が子(令和元年生)を連れて別居・令和2年 申立人が婚姻費用分担調停を申立てるも不成立、審判手続きに移行 夫婦の収入状況 ・申立人は無職、無収入・相手方は、別居当...
婚姻費用・養育費

大学卒業までの学費を元夫が負担するとの裁判上の和解につき、①大学退学後、別の大学に編入した後の学費の支払い義務は含まない、②元夫の収入が期待に反して減少したことは、学費支払義務を消滅させる事情とはならないとした事例(東京地判令3.1.29)

事案概要 ・平成14年 協議離婚、三子あり・平成18年 元妻(原告)と元夫(被告)が、裁判上の和解(以下「本件和解1」)・平成22年 元妻と元夫が、裁判上の和解(以下「本件和解2」)※本件和解1:元夫と元妻は、平成18年10月以降に...
婚姻費用・養育費

婚姻費用に関し、夫婦の間で一定額の婚姻費用を支払う旨の合意は成立していないと認定した事例(東京地判令3.9.6)

事案概要 ・平成9年 婚姻・平成22年 夫が不貞行為、平成24年以降は夫と不貞相手が同居・平成23年 夫婦が別居・平成24年5月 夫が代理人を通じて妻に対し、同月分の「生活費」(家賃等除く)として30万円を支払うこと、翌月分以降も「...
婚姻費用・養育費

婚姻費用算定に際し、生活保護費は収入と評価することができないとし、障害者年金は収入と評価するのが相当とした事例(さいたま家審越谷支部令3.10.21)

事案概要 別居後、申立人が相手方に対し、婚姻費用分担調停の申立てをした事案。申立人は、生活保護費及び障害者年金(基本年金・子らのための加算額計約130万円)を受給している。婚姻費用算定に際し、申立人が受給している生活保護費及び障害者...
婚姻費用・養育費

調停条項記載の「学費」の解釈につき、和解成立の経緯等から当事者の意思を探求するとし、調停成立後の大学進学のための塾等の費用のうち、高額な費用の支出であると判断した事例(東京地判令和4年1月12日)

事案概要 平成31年3月  婚姻費用分担調停において、本件調停条項成立 1項 夫が、妻と当時私立高校1年生(医学部志望)の長男の婚姻費用として月11万円を支払う。 4項 夫が妻に対し、学資保険の満期保険金を長男の学費に充当することを...
タイトルとURLをコピーしました