婚姻費用につき、義務者が退職して無職であっても、従前の稼働状況等から前年の収入の5割の稼働能力があるとして婚姻費用を算定した事例(宇都宮家審令2.12.25)

お金と家 婚姻費用・養育費

事案概要

夫婦歴

・平成29年 婚姻
・令和元年 申立人が子(令和元年生)を連れて別居
・令和2年 申立人が婚姻費用分担調停を申立てるも不成立、審判手続きに移行

夫婦の収入状況

・申立人は無職、無収入
・相手方は、別居当時給与所得者で、2年9か月勤務した後、令和2年6月に自主退職。令和元年分の総収入は約348万円。最終学歴は高卒で、従前、営業職正社員として3か月、派遣社員として1年それぞれ稼働。令和2年2月以降、精神科に通院し、診断書によれば、適応障害により抑うつ、情動不安定、過食などが生じており、現在は就労困難との診断を受けている

判断(婚姻費用月額4万円)

・相手方は現在34歳であるが、以前も一定期間にわたり複数の勤務先で稼働してたというこれまでの就労歴、退職理由、精神科への通院歴や診断書により認定できる心身の症状のほか、退職してから間もないことなどを考慮すると、本件婚姻費用分担金額の算定に当たっては、令和元年分の給与収入約348万円の5割程度の稼働能力に止まるものと認めるのが相当である

・相手方は、現実の収入がゼロであり、就労が不可能であるため稼働能力がないと主張する。しかしながら、(中略)従前の就労状況、精神科への通院歴(過去の受診歴なし)や通院期間、診断書によっても、将来にわたって就労が困難とまでは診断されていないことなどに照らせば、稼働能力が全くないと認めることはできない

その他

申立人については、監護している子の年齢やその監護状況に照らせば、総収入は0円と認めるのが相当。

タイトルとURLをコピーしました