事案概要
・平成28年4月 婚姻、第1子誕生
・同年12月~ 元夫と不貞相手(被告)が性的関係を持つ
・平成29年10月 離婚
元妻(原告)が元夫の不貞相手に対し、平成28年12月から平成29年3月中の不貞行為に関し、慰謝料等約556万円等の支払い等を求めた
判断
・元夫と元妻との間の第1子が生まれて数か月という時期から、元夫の働きかけによって、不貞行為が始まった
・不貞行為の期間及び回数は、4か月程度の間に平均すれば月2回程度であるが、泊りがけの沖縄旅行に行ったこともある
・不貞相手は、元妻と同じ会社に勤めており、元夫の妻としての元妻の存在を具体的に認識し、妊娠・出産したばかりであることを知っていたにもかかわらず、不貞行為に及んだ
・その後、元妻と元夫は離婚し、元妻が子供を引き取って育てている
・元妻は、元夫が不貞行為をしていることを疑い、その調査に約150万円もの費用を投じている(この費用自体を独立の損害として認定することはできないものの、慰謝料額を検討するにあたっての事情としては考慮すべきものと考える、)
・不貞相手は、元妻から不貞行為に係る損害賠償を求める通知を受けて以降、本件の訴訟代理人弁護士を代理人に選任し、一貫して謝意を示すとともに、慰謝料として相当額を支払う姿勢をみせて本件の紛争を解決しようとしていたこと
・これらの事情を総合考慮すると、元妻に生じた精神的苦痛を慰謝するのに相当な金額としては200万円を相当と認める
結論
慰謝料200万円、弁護士費用相当額20万円、損害額合計220万円
その他
・不貞行為が原因で元妻が離婚に至ったこと、離婚によりひとり親となり元妻の負担が急増したこと、会社における今後のキャリアに影響が出ているあるいは出る可能性があることにつき、不貞行為に伴う慰謝料の事情として主張されているところ、離婚したこと自体や離婚したことによって元妻に生じた様々な変化、負担は、正に離婚に伴う影響であるから、離婚に伴う慰謝料額を定めるに当たり考慮事由となることはともかく、不貞行為に伴う慰謝料額を定めるに当たり考慮すべき事情ではない
・本件はもともと、不貞相手が元妻に対し、債務不存在確認訴訟を提起したところ、元妻が本件訴訟(反訴)を提起した事案