事案概要
夫が妻の不貞相手に対し、慰謝料の支払いを請求した事案。
夫婦歴
・平成19年に婚姻し、平成21年に長男が、平成25年に長女がそれぞれ出生。
不貞の経緯とその後
・平成28年頃、妻と不貞相手の男性(既婚)は、仕事を通じて知り合う。
・遅くとも平成30年4月までには性的関係を持つ。
・令和元年12月、夫が妻の不貞に気付く。
・妻は不貞相手との関係を続けるため、別居しようとしたが、子に反対されて断念した。
・不貞相手は、妻の別居の準備につき相談に乗ったり、「早く離婚して完全に清算してほしい。」と離婚を促すなどした。
・遅くとも令和2年5月頃には、妻と不貞相手の男性の関係が解消される。
・令和2年9月、夫が妻の不貞相手に対し、慰謝料300万円の支払いを求める。
判断
慰謝料:120万円
理由(積極)
・婚姻期間10年間
・子を2人もうける
・不貞行為により自ら相当の精神的苦痛を被った
・不貞の事実を子らが知ったことに対する心痛も著しい
・不貞行為について、夫の責めに帰すべき事情があったということはできない
・不貞期間は断続的とはいえ2年以上
・夫に不貞関係を察知された後も、しばらくの間、不貞関係を継続させ、その結果、妻が別居を決意するなど、夫と妻の婚姻関係は破綻の危機に瀕した時期もあった。
理由(消極)
・不貞関係は既に解消された
・夫は、妻との同居生活を続け、現時点では、妻との婚姻関係の継続を断念するまでには至っていない
弁護士費用:12万円
その他
被告は、夫婦の婚姻関係は少なくとも平成29年頃には破綻していた、仮に破綻していなくても被告は破綻していると信じていたと主張したが、裁判所はいずれの主張も排斥した。