夫婦間の交流があったとしても、婚姻関係が破綻していたと認定した事例(東京地判令3.8.5)

壊れた夫婦関係 不貞行為

事案概要

妻が夫の不貞相手に対し、不法行為に基づく慰謝料の支払いを求めたところ、不貞相手は、不貞を開始した時期には既に夫婦関係は破綻していたと反論した事案。
妻はタレントとしてテレビ番組に出演する者で、夫は芸能事務所に所属して芸能活動に携わる者。

判断

夫婦関係が破綻していたこと

・平成16年に妻の自宅の鍵が交換されたことを契機として、夫はホテルで宿泊することが多くなった
・平成19年から、夫は妻の自宅とは別のマンションに生活の本拠を移し、長年に渡り別居
・遅くとも平成26年頃から、妻は夫以外の特定の男性と親密な関係にあった
・平成28年1月頃、夫が第三者から上記妻の男性関係について伝えられた際、「どうでもいい」と感じるような状態にあった

遅くとも平成28年1月頃には、妻と夫の婚姻関係は破綻していた。

夫婦間の交流があったこと

・夫は、平成19年以後も妻と交流しており、夫が妻の自宅を訪れ、妻や知人らと食事をするなどの交流を続けていた
・平成26・27年頃、夫が妻に対し、「I LOVE YOU」等記載したクリスマスカードを贈るなどし、同年の妻の誕生日には、知人が作成したビデオメッセージにおいて、妻の誕生日を祝うとともに、妻と出会ったことへの感謝を伝えるなどした
・平成28・29年頃、夫と妻の双方のブログには、家族で外食や買い物をし、自宅で鍋パーティをするなどの様子が投稿されていた

しかし、夫と妻との食事の場には子らが同席していたり、夫は、妻との交流の様子を自身のブログに投稿していたことからすれば、夫が妻と交流していたのは、主として子らとの交流を目的とするものであったり、自身の芸能活動の一環として行っていたものと考えられる。
よって、平成28年1月頃には婚姻関係は破綻していたという結論を左右しない。



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