1 事案概要
父が、長男及び二男を連れて別居したが、その後、子2人の監護者を母と指定し、子を母に引き渡すよう命ずる審判(以下「本件審判」という。)が確定した。
その後、母は二男の引渡しを受けたが、長男が母への引渡しを強く拒絶したため断念し、別日に再度引渡しを受けることを試みたが、長男が再び強く拒絶した。
そこで、母が本件審判を債務名義として、間接強制の方法による子の引渡しの強制執行の申立てをした。
2 判断
【判断枠組み】
家庭裁判所の審判により子の引渡しを命じられた者は、子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ、子の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ、合理的に必要と考えられる行為を行って、子の引渡しを実現しなければならない。
このことは、子が引き渡されることを望まない場合であっても異ならない。
【本件】
本件審判確定から約2か月の間に2回、長男が母に引き渡されることを拒絶する言動をしたにとどまる本件の事実関係の下においては、本件申立てが権利の濫用に当たるとはいえない。