約6年間にわたり、月1回の面会交流を定める審判に反し任意の面会交流が実施されなかった事案で、慰謝料120万円が認められた事例(東京地判令2.11.2)

母と子の後ろ姿 面会交流

事案概要

・平成25年 協議離婚(子の親権者は被告)、面会交流審判(月1回の面会交流。以下「本件審判」)
・同26年 原告が本件審判の決定に基づき間接強制申立て、間接強制金等を定める東京高裁決定

原告と被告は元夫婦であるところ、原告が被告に対し、本件審判に反して違法に子との面会交流をさせないとして、不法行為に基づき320万円の損害賠償等の支払いを求めた

判断

・被告は、本件審判により原告と子を面会交流させるべき義務を負っていたものの、多数回の履行勧告や東京高裁決定があるにもかかわらず、原告と子の面会交流に応じなかったものであって、かかる被告の行為は、原告の面会交流権を侵害する不法行為に当たる
・これに対し被告は、土曜日には学校行事があり、本件審判で定められた毎月第3土曜日の面会交流実施が困難であった旨主張する
・しかし、仮にそうだとしても、本件審判では代替日の設定についても定められており、しかも、原告は日程変更に柔軟に対応する考えを示していたのに、被告はイレギュラーな予定が入るので日時を決めるのは難しいなどとして、代替日の調整に応じなかったことからすれば、被告の不法行為責任は左右されない
・なお、原告が婚姻費用や養育費を任意に支払わず、被告が強制執行を申し立てることになっているとしても、そのことは、被告が、原告と子を面会交流させるべき義務を消滅させるものではない
・損害額について検討すると、本件審判により月1会の面会交流が定められていたにもかかわらず、本件訴訟提起時に至るまでの約6年間、任意での面会交流は一度も履行されていないこと、その間に子は3歳から9歳へと成長したが、原告は写真を受け取ることもできずその成長の様子がわからない状況であったこと、被告は度重なる履行勧告にも東京高裁決定にも全く従っていないこと、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告の精神的苦痛を慰謝するためには、120万円をもって相当と認める

結論

慰謝料120万円

タイトルとURLをコピーしました