監護親は、審判に従って面会交流を実施するため非監護親と誠実に協議・調整すべき条理上の注意義務を負担しているとした上で、本件では同義務の違反は認められないとした事例(東京地判令2.3.13)

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事案概要

・平成29年 本件審判確定(元夫と子らとの長期休暇時の宿泊を伴う面会交流等を定め、詳細は当事者間で協議して定めるとしたもの)
・同年末から平成30年初め 宿泊を伴う面会交流は実施されず(以下「冬期宿泊面会交流」)
・平成31年2月 裁判離婚

元夫が元妻に対し、平成31年4月、元妻の監護する子らについて、審判で宿泊を伴う面会交流が定められたにもかかわらず、元妻が面会交流の日程を誠実に調整する義務に違反して実施しなかったことにより精神的苦痛を被ったとして、慰謝料20万円等の支払いを求めた事案

判断

判断枠組み

・面会交流が子と非監護親との交流を通じて子の福祉のために重要な役割を果たすことに鑑みれば、元妻は、本件審判を尊重し、これに従って面会交流を実施するため具体的日時、場所、方法等の詳細な面会交流の条件の取決めに向けて誠実に協議・調整すべき条理上の注意義務(以下、これを「誠実調整義務」という。)を負担しているものと解するのが相当である

・そして、元妻において、正当な理由なくこの点に関する一切の協議・調整を拒否するとか、元夫が到底履行できないような条件を提示したり、協議・調整の申入れに対する回答を著しく遅滞するなど、社会通念に照らし実質的に協議・調整を拒否したと評価される行為をした場合には、誠実調整義務に違反し、本件審判によって具体化された元夫の子らと面会交流する法的利益を侵害するものとして、元夫に対する不法行為を構成するというべきである

あてはめ

・元妻は、元夫に対して、適切な時期に冬期宿泊面会交流の具体的実施方法の打診をした上で、元夫婦双方の都合を踏まえて代替日の要請等をしたりしており、また、元妻において殊更に元夫の差支え日を指定したとみることもできず、さらに、当該冬期休暇後の代替日での実施ができなかったことはやむを得ないというべきである
・元妻において、正当な理由なく一切の協議・調整を拒否するとか、元夫が到底履行できないような条件を提示したり、協議・調整の申入れに対する回答を著しく遅滞するなど、社会通念に照らし実質的に協議・調整を拒否したと評価される行為をしたと認めることはできない

結論

元夫の請求は理由がなく棄却

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