元夫が元妻に対し、離婚調停での合意に基づき、建物明渡ないし建物からの退去を求めた事案で、調停成立後の事情変更という妻の主張を認めず、退去等を認めた事例(東京地判令2.11.19)

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事案概要

・平成29年 元夫(原告)と元妻(被告)との間で以下の内容の離婚調停成立
 エ 元夫は、元妻が本件建物(自宅で、元夫と元妻が共有)に平成31年3月末日まで居住することを認め、元妻は、同日限り本件建物から退去する(以下「本件退去条項」)
・平成30年 長男の3歳児検診で発達障害と認定


元妻が退去期限を経過しても本件建物から退去しなかったことから、元夫が本件訴訟提起

判断

・本件退去条項の内容については当事者に争いがなく、既に平成31年3月末日は経過している上、本件退去条項の内容が変更されたり、本件退去条項に定められた期限が延長されたりしたことを認めるに足りる証拠はないから、元妻は、本件退去条項に基づき、本件建物から直ちに退去すべき義務を免れない
・元妻は、本件調停が成立した後に長男の発達障害が明らかになっており、その療育の必要性の観点から、本件建物から退去して転居することは困難であると主張する
・しかし、本件全証拠及び弁論の全趣旨を総合しても、本件建物への居住を継続するのでなければ引き続き現在の療育を受けることができないと認めるべき特段の事情の存在をうかがわせる事実関係を認めるに足りる証拠はない
・また、転居により生活環境が変わることが療育のために好ましくない面があるとしても、長男の発達障害の程度を踏まえれば、このことをもって本件建物からの退去を不可能とするような事情とまで認めることはできない
・そうすると、本件調停が成立した後の事情の変更により元妻の本件建物からの退去義務が効力を失ったと認めることはできないから、本件退去条項に基づく本件建物からの退去義務をなお免れない

結論

元夫の退去請求及び退去済みまでの使用損害金(元夫の共有持分の侵害分として月16万8000円)の支払請求を認容

備考

・元夫の明渡請求(主位的請求)は、元妻も本件建物の共有者の1人であり、共有持分権に基づき本件建物を使用しているともいい得ることから、当然に明渡を求めることができることにはならないとした
・訴えの利益につき、退去義務は調停調書に明示されており、確定判決と同一の効力を有するから、元夫はこれを債務名義として強制執行の申立てをすることが可能であるが、一般に、調停調書は既判力を伴わないものと解する見解が多いとされることから、本件口頭弁論終結時を基準時として本件建物からの退去を命ずる旨の判決を改めて求めることには訴えの利益があるとした

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