事案概要
・平成16年 元夫(原告)が元妻(補助参加人)と婚姻、2子をもうける
・平成29年9月15日 不貞相手(被告)が元夫の自宅付近に元妻を車で迎えに行き外出(同日、両名が不貞行為(「本件不貞行為」)に及んだかについて争いあり
・同月16日~ 元夫と被告が4回にわたり、直接会って話合い
・同年11月 元夫が被告に不貞関係を認める内容を含む示談書提示
・平成30年 協議離婚
元夫が不貞相手に対し、不貞行為により離婚に至ったとして、不法行為に基づく慰謝料等として330万円等の支払いを求めた
判断1:本件不貞行為の存在
・元夫は、平成29年9月15日午前0時から午前2時頃までの間に、元妻の携帯電話に不貞相手との大量のラインのやり取りがあることを発見し、驚いて、就寝中の元妻を起こし、不貞相手との関係を問い詰めた
・不貞相手は、同日午前2時頃、元妻から事情を聞いた元夫から呼び出され、同日午前4時頃であるにもかかわらず、直ちにこれに応じている
・元夫と不貞相手との間で同日を含めて合計4度の話合いが行われ、その中で不貞相手が元夫に対して慰謝料を支払う旨述べ、お金を工面するために消費者金融の審査まで受けている
・同日夜、妻が病院でアフターピルの処方を受けた
・不貞相手が同年10月18日、元夫からラインで、不貞相手と元妻が男女関係にあったことを前提とした質問を受け、これを否定していない
・元妻が同年11月29日及び同年12月9日の会話においても元夫に対して不貞相手とホテルに行き性交渉に及んだ旨発言している(「エッチした!もうしょうがないじゃん。」。録音データ)
・不貞相手及び元妻が同月15日、恋愛関係にあると認められるメッセージのやり取りをしている(「気持ちは簡単に変わらない」「今もわたしは好きだよ」等)
これらの事実を総合すれば、本件不貞行為に及んだことが優に認められる上、平成29年9月16日の深夜に元妻が本件不貞行為に及んだことを泣きながら吐露し、それを聞いた元夫が直ちに不貞相手を呼び出したこと、不貞相手もその場で本件不貞行為を認め、元夫に対して謝罪し、慰謝料の支払いに応じる旨述べていたが、示談書を締結する段に至り、これを突然翻したという元夫の供述は、本件の事実経過及び証拠とよく整合し、不自然な点もなく、十分に信用できる
判断2:損害額
・不貞相手自らが元妻に対して職場外で会うことを誘い、車で迎えに行き、本件不貞行為に及んでおり、積極的な役割を果たした
・元夫と元妻の婚姻関係は、2人の子にも恵まれ、約13年間にわたり平穏無事に暮らし、幸せな家庭を築いていた
・元夫が本件不貞行為に思い悩んだ上、幸せな家庭を取り戻したいとの思いから一度は不貞相手を許そうとしていたにもかかわらず、不貞相手が、平成29年11月27日、示談書を交わす段に至り、元妻と口裏を合わせて唐突に本件不貞行為に及んだことを翻したこと、
・不貞相手が、元妻と連絡を取らない旨元夫と約束していたことをも反故にし、実際には、本件不貞行為後も元妻と連絡を取り合っていたこと
・本件訴訟においても本件不貞行為を否定し、自己の保身のために不合理で無責任な弁解に終始し、自らも妻子を持つ身でありながら、元夫に対して与えた苦悩や自らの軽率な行為により元夫の過程を壊した責任の重大性を理解しているとは言い難いこと
・本件不貞行為により元夫と元妻が離婚に至り、結果として、子らの生活環境を優先して元夫が自宅を出ることになり、元夫が家族との日々の暮らしの中で子らの成長を見守るといった何気ない幸福な時間をも失ったこと
精神的苦痛は甚大であり、慰謝料としては230万円が相当である
判断
慰謝料230万円、弁護士費用25万円、計255万円