離婚判決確定後に、同判決での財産分与の判断の対象外であった財産について、財産分与の申立てをすることはできないとした事例(東京高決令和4.3.11)

財産を取り合う2人 財産分与

事案概要

平成30年 離婚判決(「前件判決」)
令和2年 夫が妻に対し財産分与を求める調停の申立て(「本件申立て」。後に審判に移行)。
     内容は、前件判決で財産分与の判断とされなかった妻保有の財産の財産分与を求めるもの。
原審判断 前件判決において、清算的財産分与が定められているから、 
     重ねて清算的財産分与を求めることは認められない。

判断

財産分与に関する民法の規定及び判例法理に照らすと、財産分与請求権は、当事者双方がその協力によって得た一切の財産の清算を含む1個の抽象的請求権として発生するもので、清算的財産分与の対象となる個々の財産について認められる権利ではないのであるから、裁判所が、その協議に代わる処分の請求に基づいて、財産分与の額及び方法を定める内容の判決等が確定したときは、その効力として、当事者双方がその協力によって得た財産全部の清算をするものとして具体的内容が形成される。したがって、上記判決等が有効に確定したものである限り、当事者は、上記判決等において考慮されていない財産があることを理由に、当該財産について、重ねて清算的財産分与を求めることはできない。

たとえ当事者が、前件判決において、本件申立てに理由に係る財産が財産分与の対象となる旨の認識を有しておらず、あるいは同財産の存在について何らの主張立証をしていなかったとしても、これらの財産について重ねて財産分与の申立てをすることはできない。

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