元夫婦間の示談に基づき、不貞行為による損害賠償として元夫が元妻に金員を支払った場合、その全額が一部連帯部分(不貞慰謝料に対応する部分)に充当されるとした事例(東京地判令和3.10.22)

お金と財布 不貞行為

事案概要

・平成28年 妻(原告)と夫が婚姻
・平成30年4月 夫が被告(不貞相手)と性的関係を持つ
・同年8月 妻と夫が離婚
・令和元年10月 元妻と元夫が本件示談。その内容は、元夫が被告と不貞行為をし、損害賠償として500万円の支払義務があること(第1,2項)、元夫が期限までに135万円を支払ったときは、元妻はその余の支払い義務(365万円)を免除すること、ただし、元妻の被告に対する損害賠償請求権及び元夫の被告に対する求償権には何ら影響しないこと(第4項)。
・元夫は本件示談成立後、元妻に135万円を支払った。

元妻が被告に対し、不貞行為に基づく損害賠償として415万円及び遅延損害金の支払いを求めて提訴。

判断

一部不真正連帯債務の関係にあること

元夫と被告との不貞行為により、被告は元妻に対し不貞慰謝料に係る債務を、元夫は元妻に対し配偶者としての離婚慰謝料に係る債務訴、それぞれ負担し、これらの各債務は共同不法行為に基づく損害賠償債務であって、不貞慰謝料額の限度で不真正連帯債務の関係にある(元夫の離婚慰謝料に係る債務は、被告の不貞慰謝料に係る債務より高額と認められる。)。

元夫の弁済は一部連帯部分に先に充当されること

元妻と元夫との間では本件示談が成立しているところ、本件示談に係る示談書の第4項は、本文において、元夫の期限内における元妻に対する135万円の支払を条件に、元妻において元夫に対するその余の支払義務を免除する旨を、同項のただし書きは、上記支払義務の免除によっても元夫の被告に対する求償権には何ら影響することがない旨を、それぞれ定めており、これらを合理的に解釈すれば、元夫が元妻に対して上記135万円を支払うことにより、元夫の被告に対する求償権が発生することが当然の前提となっているものと理解される。
また、上記135万円の支払が一部連帯部分(不貞慰謝料に対応する部分)に先に充当される方が、弁済者である元夫にとって利益となり(元夫の被告に対する求償債務の額が少なくなり、元夫から被告に対し求償権を行使することも可能となる。)、弁済者の合理的意思にも合致する。

結論

元夫から元妻に支払われた135万円については、その全額が、一部連帯部分(不貞慰謝料に対応する部分)に充当された。
その結果、被告の元妻に対する不貞慰謝料に係る損害賠償債務は、135万円減額される。
(被告の不貞による元妻の損害額は220万円なので、弁済充当後の原告の損害額は、220ー135=85万円)


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