事案概要
・平成17年婚姻
・平成23年 夫婦喧嘩の際、元夫(被告)が元妻(原告)の顔面を右拳で殴打(以下「本件殴打」)
・平成24年 元妻が子を連れて別居
・平成29年 協議離婚
元妻が元夫に対し、離婚原因は元夫による暴力、暴言にあるとして不法行為に基づく離婚慰謝料として700万円等の支払いを求めた
判断
離婚の主たる要因が元夫の暴行、暴言にあるか
・元妻及び元夫の不和の原因は、当事者双方の価値観の違いから喧嘩やトラブルが絶えず、双方の実家も疎遠となり、これに育児や体調不良、転職等で双方に余裕のない状況が重なり、平成22年頃から更に頻繁に口論するようになった
・平成23年5月の本件殴打以降、頬を叩く、腕を強く掴む等の元夫の暴力が複数回、断続的にあった
・元妻が平成24年4月8日以降、合計6回にわたり元夫の暴力について暴力相談支援センターに相談し、同年5月31日及び同年6月11日に110番通報した
・以上を踏まえると、元夫の暴力が決め手となり、元妻が元夫との別居を決意したものと認められる
・(中略)別居時点で婚姻関係が破綻した原因は、専ら元夫の暴力にあるということができる
慰謝料額
・婚姻関係破綻の要因は、専ら元夫の暴力にあった
・他方、元夫が暴力を振るう以前に、元妻及び元夫は、双方の価値観に(原文ママ)相違等により、喧嘩やトラブルが絶えず、実家同士も疎遠となっていたのであり、そのことが破綻の基礎的な要因となった
・元夫が暴力を振るうに至った経緯を検討すると、(中略)元妻に落ち度が一切なかったということはできない
・元妻は、(調停において)約束した面会交流の申立てを履行せず、試行的面会交流に協力せず、これにより、元夫は、唯一の子と会うことができず、父親として忸怩たる思いを過ごしたことは想像に難くなく、このことが双方の感情的対立を更に深め、最終的に、元夫はこのような対応に終始する元妻との婚姻関係の修復を断念した
・そうすると、元妻にも破綻について一定の責任がある
・その他一切の事情を総合考慮すると、慰謝料額としては180万円と認めるのが相当である
結論
慰謝料180万円、離婚成立日から年5分の割合による遅延損害金の認容