審判において面会交流条項を具体的に定めた事例(東京家裁立川支部審判令3.11.30)

子を抱きかかえる父 面会交流

事案概要

別居中の夫が、子2人を監護養育している妻に対し、民法752条(夫婦間の協力扶助義務)に基づき(主位的請求)又は民法766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め)を類推し(予備的申立て)、「養育計画」に従って親権を共同行使せよとの審判を求めた事案。
裁判所は、主位的申立ては理由がないとし、予備的申立てについては、実質的には面会交流の具体的内容を定めることを求めていると解釈し、その具体的内容を定めた。
なお、子らは審判当時、4歳ないし5歳であった。

判断

面会交流条項(抜粋)

 ⑴ 頻度 毎月2回
 ⑵ 実施日・時間 
  ア 本審判が確定した日の属する月の翌月から6か月目まで
    いずれも土曜日の午前9時から午後5時まで
  イ 7か月目から12か月目まで
    毎月1回は土曜日の午前9時から午後5時まで
    毎月1回は金曜日の午後6時から翌日の午後5時まで
  ウ 13か月目以降
    いずれも金曜日の午後6時から翌日の午後5時まで
  エ 19か月目以降
    一方当事者は他方当事者に対し、実施時間の変更についての協議を申し入れることができる。

理由

・夫と子らの面会交流は、令和元年9月以降、1か月に1回、3時間ないし6時間で実施されている
・夫が子らと同居中、子らの朝食準備や保育園の送り、保育園の連絡帳の記載を主に担当
・少なくとも1か月に1回ないし3回程度、子らの夕食、入浴、寝かしつけを1人で行い夜も一緒に寝ていた
・家庭裁判所調査官の報告書によれば、子らが夫に懐いており、夫が子らの発達課題に合わせた適切な関わりができていることと等が確認されている。
→ 面会交流は、1か月に2回の頻度で休日に行うことが相当であり、面会時間を現状の3時間よりも長時間とすることや、宿泊を伴うことも可能である。

もっとも、子らに喘息があり、現状の面会交流の内容を直ちに大きく変えることは子らにとって負担が大きいおそれがあること等から、面会交流の内容は段階的に拡張すべきである。

その他

夫は、平日の子らの保育園の登園前又は降園後の面会交流、電話・子らが通う保育園等の行事参加・写真のデータ共有などの間接的な交流なども求めていたが、裁判所は、夫婦が激しい葛藤状態にあり、面会交流を調整する上で連絡を取り合うことすら困難であること、現在実施している平日の朝夕の子らとの交流が当事者間の葛藤の一因となっていること、平日仕事をしている妻の負担等を考慮し、これらを認めるのは相当ではないとした。

タイトルとURLをコピーしました