不貞相手の父と友人、不貞をした配偶者の父に対し、不貞を認識させる内容の葉書等を送付した行為につき、不貞相手に対する不法行為が成立するとし、慰謝料額は計30万円とした事例(東京地判令2.2.10)

暗い背景の手紙 その他

事案概要

・平成14年 婚姻
・平成26年7月 夫が自宅を出て別居
・同年10月 夫と不貞相手(被告)が不貞行為
・平成29年 不貞相手の父方に、「お嬢さんが私の娘夫婦の間に入って少し家庭を壊しかけております。」等記載されたはがきが届く(以下「本件はがき」)
・平成30年 妻(原告)が夫の父宛てに本件手紙を郵送。「同封のものは夫の不貞相手と思われる現在のスタッフの様子です。」等記載あり。
・同年 妻がインスタグラムのアカウントで、不貞相手の友人に対し本件メッセージ送信。不貞相手と夫が不貞関係にある旨の記載等あり。

妻が不貞相手に対し、不貞行為の慰謝料等440万円等の支払いを求めて提訴し(本訴)、不貞相手が妻に対し、不貞相手の父らに対して手紙を送付したこと等が名誉棄損に当たるなどとして慰謝料110万円等の支払いを求めて提訴した(反訴)。

判決は、本訴に関し、不貞行為を認め、慰謝料を88万円とした。

判断(反訴につき、名誉権ないしプライバシー権侵害の有無)

不貞相手の父親への本件はがきの送付について

・本件はがきの送付には、妻が関与している
・本件はがきの記載内容は、不貞相手が妻と夫との夫婦関係を破壊しかけている旨を摘示しており、これは本件はがきを読む者に不貞相手が不貞に及んでいると認識させるものである。本件はがきの送付は、不貞相手の社会的評価を低下させるもので、名誉棄損に当たる
・また、夫と不貞相手の間に不貞行為があったと認められることは上記判断のとおりであり、これを不貞相手の父親に開示することは、不貞相手のプライバシーを侵害する

夫の父親への本件手紙等の送付について

・本件手紙の内容は、不貞相手が夫と不貞関係にある旨を摘示しており、(中略)名誉棄損に当たる。
・不貞行為があったこと等を、夫の父親にことさらに開示することは、不貞相手のプライバシーを侵害する

不貞相手の知人への本件メッセージの送信について

・本件メッセージの記載内容は、不貞相手が夫と不貞関係にある旨を摘示しており、(中略)名誉棄損に当たる
・不貞行為があったことを、不貞相手の知人にことさらに開示することは、不貞相手のプライバシーを侵害する

結論

・妻による本件はがき、本件手紙及び本件メッセージの送付・送信による慰謝料は、30万円(各10万円ずつ)
・弁護士費用相当額としては3万円(各1万円)

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