妻からの離婚請求に対し、夫にデリヘルの利用、ゲーム課金による浪費等の事情は認められるものの、同居期間7年余、別居期間2年、未成年子2人等の事情から、離婚は認められないとした事例(横浜家裁平31.3.27)

口論する夫婦 その他

事案概要

・平成21年11月 婚姻
・平成22年、25年 長女、二女が出生
・平成28年10月 夫(被告)がゲーム課金開始
・平成29年2月4日 妻(原告)が夫のデリヘル利用、ゲーム課金による浪費等を主張して離婚要求
・同月5日 妻(原告)が子らを連れて実家に行き別居開始、夫がデリヘル及びゲーム課金につき謝罪
・同年5月 妻が離婚調停を申し立てるも同年10月に不成立
・平成30年1月 本件訴訟提起

妻が夫に対し、離婚訴訟提起

判断

夫のデリヘル利用

・夫は、平成29年12月21日に1回デリヘルの性的サービスを受けているが、それ以上に利用したことがあったとは認めるに足りない
・また、仮にあと数回の利用があったとしても、夫は発覚当初から妻に謝罪し、今後利用しない旨約束していることからすると、この点のみをもって、離婚事由に当たるまでの不貞行為があったとは評価できない

夫の浪費

・(平成28年10月以降の)約33万円余のゲーム課金については、クレジットカード代金の引落しができない事態に至ったことからみても、明らかに浪費と認められ、また、ほぼ同時期である平成28年12月のデリヘルの利用についても、浪費に当たると認められる
・しかし、夫の趣味や娯楽、通勤の負担軽減のため等、事後的にみれば節約できたはずの支出や、約7年3か月にわたる同居生活の中で、家計を管理していた夫が使途を明確に説明できない支出や預金引出しがあったことは認められるものの、妻と夫の収入、家族構成、その他の認定事実を併せ考慮すると、上記のゲーム課金等を含めても、離婚事由として評価すべきまでの浪費があったということはできない

離婚事由の有無

・夫には、デリヘルの性的サービスの利用や、ゲームの課金による浪費はあったと認められ、また、家計の現状について妻に十分な説明をしていなかったり、夫自身も認めるとおり、妻と十分なコミュニケーションをとっていなかった面があることは認められるが、他方、夫が妻の意向を全く無視して独断専行の家計管理を続けていたとは認められない
・そして、妻は、平成29年1月11日にゲームの課金が発覚した後、同年2月5日に別居し、同年3月までには弁護士に離婚問題を相談し、程なく離婚調停を申し立て、不成立となった後に本件訴訟を提起しているが、その間、夫が一貫して不誠実な対応を続けていたとは認められず、むしろ、婚姻費用等を巡って感情的な対立が一時期あったとはいえ、夫は基本的に関係修復を望み、夫なりに誠実な対応を続けてきたとみるのが相当である
・以上に併せ、婚姻から別居までの同居期間は約7年3か月に及び、両者間には未だ8歳と5歳の2人の子があること、別居期間は未だ約2年に止まることを総合考慮すると、妻と夫の婚姻関係が現時点で破綻しているとは認められず、問題となった家計管理のあり方等を含め、両者が改めて真摯に協議することにより、関係が修復される余地は十分あると認められる

結論

原告の離婚請求棄却

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