元夫が独身女性と多数回、宿泊を伴う旅行をしたりラブホテルに宿泊した事実を認めながら、両者間のLINEの内容等から、不貞行為は認定できないとした事例(福岡地判令2.12.23)

ピンクネオン 不貞行為

事案概要

・平成4年 元妻(原告)と元夫が婚姻
・平成30年~ 被告と元夫が、東京、沖縄、北海道等を訪問して宿泊し、福岡市内のラブホテルに相当回数宿泊
・令和元年 離婚

元妻が被告に対し、慰謝料500万円等の支払いを求めた。

判断

宿泊等の事実から推認できる事実

・成人の男女である被告と元夫は、多数回、一緒に旅行して同室に宿泊し、しかも、ダブルベッドの設置された部屋やラブホテルに宿泊することも少なくなかった
・被告は、元夫に対し、「不倫でしかないと思いました。」などのメールを送り、元夫は被告に対し、「神の前で俺たちは不純なのかな。あなたが不倫という言葉を使う限り、きっとそうなのでしょう。」などのメールを送った
・これらの事実に照らせば、被告と元夫が性行為に及んだ事実が極めて強く推認される

前記推認を覆す事実

・被告と元夫のメールのやり取りは、いずれもアダルトチルドレンかつ共依存症であると自覚する両者が、精神世界の理論についてマンツーマンで相互学習するという精神的に緊密なつながりのある師弟関係にある上、第三者の介在を排除した2人だけの閉じられた世界で行ったものであるため、その表現は、ときに、妄想的、夢想的あるいは宗教的であったり、比ゆ的あるいは誇張的であったりし、また、言葉遊びの要素や、自己陶酔的あるいは自意識過剰な部分も見受けられることから、その内容を正確に理解することは必ずしも容易ではない
・元夫のメールのうち、「肉体関係は諦めたとしても(以下略)」、「(前略)セックスしたいなんて言えない(以下略)」などのメールは、被告に対して性的な欲望を抱き性行為を望みながらも、それが実現したときには両者の関係が終了すると予想されるため、性的な欲望を抑え性行為を諦める心情を締めるものであり(中略)、不貞行為の存在を前提とするものとは考え難い
・被告のメールのうち、「私は恋人でも彼女でもない。シアリングパートナーだから。」等のメールは、元夫とあくまで相互学習における分かち合いの相手(シェアリングパートナー)という立場であって、それに徹するべきという認識を示すものであり(中略)、不貞行為の存在を前提にするものとは考え難い

(以下略)

結論

被告が不貞行為に及んだ事実を認めることはできず、原告の請求は理由がない

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