夫から妻の不貞相手(女性)に対する損害賠償請求訴訟において、性行為類似行為も不貞行為に該当するとし、慰謝料額を10万円と認定した事例(東京地判令3.2.16)

女性2人の後ろ姿 不貞行為

事案概要

・平成26年 婚姻
・平成29年1月 妻と被告(女性)が知り合う
・同年4月 妻と被告が本件行為1に及ぶ
・同年5月 妻と被告が本件行為2に及ぶ
・同年6月 妻と被告が本件行為3に及ぶ/妻が被告に対し、プロポーズする
・同年9月 被告が男性と婚姻/妻が原告に被告との関係を話す

本件行為1:インターネットカフェで、被告が妻の胸や下半身をなめたり、陰部を直接触るなど
本件行為2・3:ラブホテルまたはホテルで、本件行為1と同様の態様の性的行為
本件行為1ないし3を合わせて、「本件各行為」

原告が、同性愛者である被告が妻と不貞行為をしたとして、慰謝料等550万円等の支払いを求めた。

判断

不法行為の成否

判断枠組み

・不貞行為とは、端的には配偶者以外との者の性的関係を結ぶことであるが、これに限らず、婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する蓋然性のある行為と解するのが相当であり、必ずしも、性行為(陰茎の挿入行為)の存在が不可欠であるとは解されず、夫婦共同生活を破壊し得るような性行為類似行為が存在すれば、これに該当するものと解するのが相当

・そして、同性同士の間で性行為あるいはその類似行為が行われた結果として、既存の夫婦共同生活が離婚の危機にさらされたり、離婚に至らないまでも形骸化するなど、婚姻共同生活の平穏が害される事態もまた想定されるところである

あてはめ

本件各行為は、夫(原告)と妻の婚姻共同生活の平穏を害しかねない性行為類似行為であるといえ、不貞行為に該当する

損害額(慰謝料10万円、弁護士費用相当額1万円)

・本件各行為により、夫は、一度は妻との離婚も考えるなど夫婦の間の婚姻共同生活の平穏は害されたといえるものの離婚にまでは至っていない
・本件各行為は被告が同性の妻に対して性行為(原文ママ)を行ったというものであり、夫も性行為(原文ママ)自体は許容していなかったものの、妻と被告が親しく付き合うこと自体は許容していた
・その他本件における諸事情を総合的に考慮すれば、夫に認められるべき慰謝料は10万円
・弁護士費用相当額は1万円

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