事案概要
・平成25年 婚姻
・平成26年 不貞相手(被告)と元夫が不貞行為
・平成29年 元妻(原告)と元夫が協議離婚。その際、「元夫が元妻に対して離婚に伴う解決金として4000万円の支払い義務があることを認める」旨の離婚合意書作成
元妻が不貞相手に対し、不法行為損害賠償請求権に基づき、1000万円等の支払いを求めた。
被告は、共同不法行為者である元夫が離婚解決金を支払ったことにより、不法行為にかかる損害賠償義務は被告の負担部分を含めてすべて消滅した等と反論。
判断(離婚解決金の支払いによる被告の損害賠償義務減免の有無)
・慰謝料額は150万円
・離婚合意書では離婚解決金の内訳等は示されていない
・元夫は、離婚合意書作成に関し、元妻から被告に対する不貞慰謝料の請求を許容し、離婚合意書の第6項では、離婚に関する口外禁止を定めるとともに、ただし書きとして、「元妻が、本件離婚に関し、元夫以外の自然人や法人に対し慰謝料などの請求をする場合は尾の限りではない。」との確認がされている
・元夫による離婚解決金の支払いは、本件不法行為にかかる損害賠償債務のうちの被告負担部分の支払いをも含める趣旨のものではない
・そこで、被告が負うべき損害賠償額を検討するに、元夫の負担部分については離婚合意書により解決済みであることは元妻も認めており、当事者間に争いはない
・元夫は、元妻から被告への慰謝料請求に関し、「煮るなり焼くなり好きにしろ」などと述べていることなどからすると、元夫において被告と共同で負うべき損害賠償債務のうち、その2分の1を超えて支払う意思があったものとは認め難い
・そうすると、元夫は、自己の負担分として前記に検討した150万円のうち75万円を支払ったものと認めるのが相当
結論
被告は、残余の75万円の支払い義務を負う