離婚裁判・審判例

財産分与

妻が夫に対し、夫が所有する財産について財産分与対象財産であることの確認を求める訴えは、確認の利益を欠き不適法であるとした事例(大阪地判令2.3.24)

財産分与請求権は、協議や審判等で具体的内容が形成されるまではその範囲及び内容が不確定・不明確なので、夫婦の他方が所有する財産について、協議等の前に財産分与対象財産であることの確認を求めることはできない
不貞行為

複数の間接事実及び元妻と不貞相手が元夫(原告)に不貞の事実を認めたとする元夫の供述から不貞の事実を認定し、慰謝料額を230万円と認定した事例(東京地判令2.3.27)

夫からの不貞行為の追及に対し、未明から早朝という時間帯にもかかわらず妻と不貞相手がこれに対応していること、不貞相手が示談金の工面をした形跡があること、不貞行為直後に妻がアフターピルの処方を受けていること等の間接事実から不貞行為が認められ、妻と不貞相手が一度は不貞行為を認めたという夫の供述も信用できる
面会交流

訴訟上の和解における①面会交流及び②子の氏を変更しないとの合意に元妻が違反したとして、元夫が慰謝料の支払いを求めた事案において、①は消滅時効、②は不法行為とはならないとしていずれの請求も棄却した事例(東京地判令2.5.20)

過去の面会交流において父が子の帰宅時間を守らなかったり、子の顔の痣に気付かなかった等の事情があったとしても、母が面会交流を拒否したことは不法行為となるが、消滅時効が成立している、合意に反し子の氏を変更したことは、子の福祉の観点からやむを得ず不法行為を構成しない
不貞行為

元夫から元妻及びその不貞相手に対する損害賠償請求訴訟において、慰謝料額を250万円と認定した事例(東京地判令2.8.4)

婚姻期間12年、不貞期間2年半、不貞行為により離婚、不貞をした妻が不貞相手との間の子を出産した等の事情から、慰謝料額は250万円が相当とした。
婚姻費用・養育費

婚姻費用に関し、私立高校学費等について、世帯収入に対応する公立学校教育費を算出した上で、これを超える支出分につき基礎収入に応じて按分するとした事例(東京高決令2.10.2)

世帯収入約1100万円に対応する公立高校教育費相当額は約37万円であるとし、これを超えた私学学費等支出分について、夫婦の基礎収入に応じて按分した金額を加算し、婚姻費用月額を25万円とした。
監護権・子の引渡し

父との安定かつ継続的な面会交流が期待できないこと、母の心身の状況が不安定であること等から父を監護者と定めた原審の判断を覆し、母を監護者と定めた事例(東京高決令3.8.6)

別居前の主たる監護者が母でありその監護に問題はなかったこと、母の心身の状況が従前より回復し、その父母の協力も得られる見込みがあること、父子の継続的な面会交流が実現するよう努めていること等の事情から、監護者を母とした
不貞行為

元妻から元夫の不貞相手に対する損害賠償請求訴訟において、慰謝料額を200万円と認定した事例(婚姻関係約1年半。東京地判令2.10.7)

婚姻期間1年半、子1人、不貞期間約4か月の事案で、慰謝料額200万円を認めた
不貞行為

元夫から元妻の不貞相手に対する損害賠償請求訴訟において、慰謝料額を250万円と認定した事例(東京地判令2.10.21)

不貞期間2年間で多数回にわたって不貞行為、元夫が入院中にその自宅で不貞行為に及んだ、不貞相手が元妻に対し、別居や元夫から現金を引き出すことを働きかけるなどした、元夫と元妻の婚姻期間20年、離婚に至ったこと等から、不貞慰謝料を250万円とした。
面会交流

約6年間にわたり、月1回の面会交流を定める審判に反し任意の面会交流が実施されなかった事案で、慰謝料120万円が認められた事例(東京地判令2.11.2)

月1回の面会交流を定める審判に従わず面会交流をさせなかった事案で、親権者の損害賠償義務が認められた。
その他

元夫が元妻に対し、離婚調停での合意に基づき、建物明渡ないし建物からの退去を求めた事案で、調停成立後の事情変更という妻の主張を認めず、退去等を認めた事例(東京地判令2.11.19)

離婚調停で将来の建物からの退去を合意する条項を定めた場合に、その後に同居する子の発達障害が発覚したとしても、退去義務は免れない等とした。
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